山岸竜之介インタビュー

<小曽根真 feat.No Name Horses>はまさに“夢の国”です!

――山岸竜之介さんは幼稚園年長時代にテレビ番組で人気ギタリストのCharさんとセッションをし、一躍注目を浴びた後、プロのギタリストとして活動を開始、以降、国内外で様々な実績を残しています。2019年20歳の誕生日にはファースト・ミニ・アルバム『未来アジテーション』を発表、シンガー・ソングライターとしても精力的に音楽活動を展開している矢先、小曽根真さんから共演のオファーがあったんですよね。

山岸竜之介(以下、山岸):それまで僕はロック&ファンクひと筋でしたので、クラシックはもちろん、ジャズやプログレに全く触れて来ませんでしたし、お声がけいただくまで小曽根さんのことも存じておりませんでした。お会いする前にネット検索はしましたが、知っている素振りをするのは失礼だと思い、初対面の際、正直にお伝えし、譜面が読めないこともお話したら“とにかく弾きまくるギタリストと一緒にやりたいんだよ。ジャズ云々など考えずに思うがままに弾いて欲しい。もし、僕の曲がいいと思ったのなら<小曽根真feat.No Name Horses>と一緒に演ってください”とおっしゃってくれたんです。デモ音源を2曲受け取った僕は家路に向かう新幹線の中で早速聞きました。驚きましたよ、“こんな音楽があるんだ!”って。そして、是非、やらせていただきたいと興奮しながら2時間、エンドレスで聞き続けたんです。この音楽で僕はどんなフレーズを弾くだろうという、自分自身に対してもドキドキ、ワクワクしながら。

――でも、即返事をしなかったそうですね?

山岸:言葉使いは正しいのか、失礼にならないメールを送る時間帯は一体いつ?などと凄く迷ってしまったんです。スマホを出してもそこでストップ、その繰り返し。散々悩んだ挙句、意を決して“ギターを弾かせて欲しいです”と単刀直入にお返事したら“よし、やろう、まずは音を出してみよう”と言ってくださって、約1週間後にハモンドオルガンのあるスタジオで再会しました。実は、小曽根さんにメール連絡した時には既に渡された2曲を暗譜していたんです。それは、初めて音を合わせた一発目で小曽根さんに“めっちゃ、カッコええ”と思って欲しかったからです。で、ギターをセッティングしている時に“キュイ~ン”とワン・フレーズ弾いたら、いきなり“イエス、最高!”って小曽根さんが叫んだんですよ!あれは嬉しかったなあ。そこからは小曽根さんのプレイに乗っかって延々セッション・タイム。“音楽をしている幸せ”というのはこういうことを言うんだって思いました。

――即興演奏ですか?

山岸:はい。僕は元々、完コピをしたことがないんです。例えば、大好きなジミ・ヘンドリックスやブライアン・セッツァーの曲をカヴァーする時も自分流に弾いていましたし、即興でカッコいいコトを弾ける人でいたいと思ってずっとギターを演奏してきました。だから、小曽根さんとセッションした時は楽しくて楽しくて。

――そして<小曽根真feat.No Name Horses>の全体リハーサルに参加されたんですね。

山岸:昨年6月に行われたブルーノート東京のライヴ前に1日だけ、全体リハがありました。メンバーのみなさんが本当に温かく迎えてくれて、例えば、僕がギター・ソロを弾くとサムズアップ(親指を立てるジェスチャー)してくれるんです!実は僕、2曲だけ参加する予定だったんですが、リハの日に小曽根さんが“新曲です”と言ってスコアを配り“竜之介にも一応”と言って渡されたそれを見るとギターの部分だけ真っ白。“譜面が読めない竜之介は好きに弾いて”と小曽根さんからひと言あって(笑)。その曲が変拍子でかなり難しいんですよ。それがまた嬉しくなっちゃってね。

――難曲にチャレンジするのが好きなんですか?

山岸:知らない世界に飛び込むのが大好きで、しかも、考えて弾くのではなく、指が動いたことで自分の弾きたいことがわかり、それを受けてこうしてみようと次に行く瞬間が堪らないんですよね。

――演奏する上で小曽根さんから何かオーダーはありましたか?

山岸:遠慮するのだけはやめてくれと言われました。それにしても、ブルーノート東京で4日間8ステージ行った昨年のライヴは同じ曲でも毎回、始まりも終わりも中の掛け合いも全然違うんです。僕がこっちに行きたいなって思った瞬間に小曽根さんが“そっち、ちゃうで~”ってプレイして(笑)。だったら僕はこっちに行きます、という感じで超エキサイト!

――山岸さんはビッグバンドとの共演も初めてなんですよね?

山岸:はい!こんなにも素敵な場所だとは思ってもみませんでした。<小曽根真feat.No Name Horses>はまさに“夢の国”です。音楽が好きでギターが大好きな僕が、最高な人たちと最高な音に抱きしめてもらいながらプレイさせてもらえるんですから“夢の国”に居るとしか例えようがありません。ですから、アルバム『Until We Vanish 15×15』のレコーディングも楽しみで仕方がなかったし、実際、録音中は幸せ以上でした。昨年の12月にアルバムが発売されてからは移動中などに聴きまくっています。もちろん、僕が参加していない楽曲もリピート、リピート。だって、本当に美しくてカッコいいんですよ。小曽根さんのオリジナル曲はもちろん、エリック宮城さん、三木俊雄さん、中川英二郎さん、池田篤さんが書かれた曲も作曲者の色がしっかりと感じられて、それも凄いなあと感動しまくりです。聴いているだけで感謝の気持ちで一杯になり、そして、早くツアーが始まらないかなあと待ち遠しくて仕方がありません。

――15周年記念スペシャル・ツアーに参加できる喜びがヒシヒシと伝わってきます。

山岸:楽しみ以外の言葉を見つけられなくて今、一生懸命、辞書をめくって探している最中です(笑)。僕ね、音楽をするために生まれてきたと信じていて、美味しいご飯を食べている時よりもギターを弾いている時の方がずっとずっと幸せだし、音楽をしている時だけは自分に自信を持てるんです。そんな僕が小曽根さんと出逢い、ジャズにも関心が湧いて色々な音源も聞いていくうちに解ったことがあります。ジャズというのは最もフリー(自由)で捕らわれていない音楽だということ。つまり、自分のやりたいことをやればいいし、小曽根さんのおっしゃる通り、ジャンルは関係ないと以前にも増して確信しました。なので、ツアー先のライヴでは小曽根さんの曲に僕のこういうギターを届けたいという一心でご一緒させていただきます!

取材・文 / 菅野聖(HIJIRI KANNO)